デリカＤ５(Ｄ：５) Watch

夏場になるとエアコン話題が出て来ますが、Ｄ：５のエアコンについて書きます。

従来のデリカスペースギアはフロントとリアにエアコンを持つツインエアコン仕様でした。(おそらくその前のスターワゴンも？)
冷房の方ですが、フロント、リアにそれぞれ、コンデンサ、エバポレータ（冷却機）を持っており、暖房では、同じくフロントとリアにそれぞれ独立したヒーターコアを持っております。
ヒーターコアとは、ラジエーターみたいなものでして中を冷却水（温水）が循環しそこを通した風を室内へ送りこんで暖めております。当然ながらエンジンが温まるまで（冷却水がエンジンにより温まるまで）は冷気しか出ません。
従来はこれらが１ＢＯＸカーツインエアコンのスタンダードなシステムでした。

Ｄ５は、フロントはフルオートエアコンですが、リアは冷房専用の単なるクーラーとなったようです。
基本的に暖房は前からダクトで引っ張っているだけのようです。
（ダクトの途中に「速暖式リアヒーター」を装備した仕様ものもあります。）

ご存知のように、Ｄ５は、アウトランダーと同じプラットフォーム（ベースがアウトランダー）なのでリアエアコンのモロモロを収納するスペースも制約があったのでしょう、後で記載した“暖める側での効率的なの問題”もあるようで、リア側は単独のクーラー、暖める側では、前席用エアコンから３列目まで温風送風するダクト間に再加熱するPTC（Positive Temperature Coefficient）ヒータを採用するに至ったようです。
（ただし当初は１グレードと工場オプションの寒冷地仕様車のみでした。）

PTCの構造は簡単に言えば髪を乾かすドライヤーみたいなものでしょうけど、PTC素子は、素子単独で温度制御ができ、過度な温度上昇を抑える特性を持っているそうです。

三菱重工の説明によると、電熱式の速暖式リアヒーターを採用した背景には、近年のエンジン高効率化によるエンジン冷却水温度の低下や，車外に温水配管を配置するため熱ロスが大きいなどの理由により，温水加熱方式リアヒータでは十分な熱源を得ることが困難になっているなどの理由があるようです。

冷却水温度が顕著に下がる程にエンジンの発熱が減ったというのは初耳でした。
近年のヒーターシステム、他社（車）はどういう動向なのでしょう？

効率と言う面ではどうなのでしょう、従来のシステムだとエンジンの水冷に使う水（お湯）を二次利用している、ある意味エコなものでしたが、電熱だと電気も結構使いそうな気もします。

　イメージ図



　出展元　三菱重工技報 VOL.45 NO.2: 2008

HVACとは　冷房用のエバポレータと暖房用のヒータコア、さらに送風用のファンを一体としたユニットの名称のようです。
　
三菱自動車製デリカD:5 用デュアルエアコン
Dual Air-conditioner for Mitsubishi Motors Delica D:5
　PDF

仕様　

　HVAC（フロント側）
　冷房性能 （500 m3/h）5500 W
　暖房性能 （350 m3/h）5700 W

　リアクーラ
　冷房性能 （280 m3/h）2900 W

　リアヒータ
　暖房性能（ 90 m3/h）260 W